【すだちの名産地】

すだちである。
地元の特産品なので、盆明け〜いまくらいの季節になると、実家から大量のすだちが送られてくる。それで毎年、これくらいの時期に会った友人には配っていたのだが、どうも喜ばれていないような気が最近している。
用途を理解しきれていないからかもしれない。「秋刀魚にはレモンよりすだちの方が美味しいよね!」と江戸っ子が口にするのを聞いて、腰が抜けるほど驚愕した。魚にレモンをかけるなんて!
あげたすだちを、どうも数ヶ月も消化しきれていないという話も聞いた。冷蔵庫で黄色になっている…と。まあ黄色になっても食べられるんだけど、私は四国からはるばるやってきて関東の一家の冷蔵庫に放置されるすだちを思い、うっすら泣いた。かれらをそんな場所に追いやったのは私だ。
もしかしたら味覚というものが、育った地域によって違うのか。地元の銘菓を関東ローム層民に配ったときもそうだった。地元では子供が足をじたばたさせて喜び、老若男女が愛するお菓子だ。私も子供の頃から好きだ。でも、けっこう関東では不評だった。食べているときの表情もさえなかったし(ここで「あれ?」と思った)、あろうことか、そこに立ち会わなかった人にまでそのお菓子の陰口がたたかれていた(「微妙なお菓子」とか、そういう文句だったように思う。丁度「微妙」という言葉がネガティブな意味を持ち始めた頃だった。)。呆然とした。
ま、そんなわけで自分の味覚に絶対の自信はもてないんですけど、少なくとも私はすだちを享受してこれて、幸せだと思っている。焼魚にかけたり、わかめサラダにかけてみたり、ソーダで割ってみたり、すだちハイにしてみたり、お豆腐に絞ってみたり、大根おろしのアクセントにしたり、‥地元ではあまつさえすだちワインなども売っているんです。すだち石けんや入浴剤まで。12年ほど前の国体ではすだちくんというキュートなキャラクターまで生まれた。私はI believe in SUDACHIの詩をささげる。すだちに。

Sudachi. What a beautiful body you've got !
How blue you are! How lossy you are ! How natural you are !
How do you know I know you are pretty? I LOVE YOU for the rest of my life.

暇人はいけないね、やっぱり。