- 作者: 中島義道
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/01/18
- メディア: 単行本
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中島さんは、自分の嫌いな人を、10あげている。いつも前向きに生きている人、感謝の気持ちを忘れない人、笑顔の絶えない人、自分の仕事に「誇り」を持っている人…など、ともすれば「前向きな人ってやっぱりいい。感謝の心はいつも持つべきだ。いつも笑顔でいたい。うん、仕事、やりがいはあるよ。ーーうん、幸せだと、思うよ。」なんてな、「いい人」を例としてあげている。
「みんなの喜ぶ顔が見たい人」というのもあった。こういう人には定期的に会う。自分のモットーはお笑い精神だとか、人を楽しませてなんぼなんです、とか。いや、どうしてこんな素直な感性が育つんだろう、と思うし、そういう人たちに、「お笑いをなめてるようだが?」などと言う訳にもいかない。彼女は善意で行動しているのだ。善意は偉い。サービス好きの人は、サービスの普遍性とその善性を、自分だけでなくサービスを押しつけられる側にも要求する…なんて言う訳にはいかん!こんなこと言ったら確実にモテない。ゆゆしき事態だろう。
本には、すごくすごく納得がいくんだけど、これ読んでたらまた人生から<半分以上>降りることになるんじゃないかって、思う。ところで、中島さんの本は、腹の立つ人について、物語をつくって例をあげているのだが、想像力が豊かというか、ベタな設定からやや奇特な設定まで(登場人物に名前も付与している)、多分真剣なだけに(けど書きながらニヤニヤしている可能性も別に否定しない)、コントの様相を帯びている。芸人も、社会の常識を何度も逆手にとる感じの笑いをつくることがあるよね。ブラマヨなんかは、それの、ものすごい洗練された形かもしれない。