君の歪みを見せてくれ!

僕はだれもが胸ときめく恋愛をテーマにした小説の何が面白いのかよくわかりません。それよりもその人がどう歪んでいるのかが見える、あるいはその人がどう世界を歪んでみているかが表現された小説が好きです。

と、雑誌のインタビューで柴田元幸が言っていたんだけど、日常生活で、興味を持つのも、人の歪みじゃないかって思う。
こないだ会った友達は、美人で、頭もよくて(法曹だし)、その美人さを武器に、世の中簡単にわたっていけそうなのに、話のすべてがジェンダーの文脈に読みかえられる人。子供の頃から男女差別をひしひしと感じていたようだ。「もったいないなー美人なんだからもっと楽に生きられるのになあ」と思うと同時に、その歪みがすごく面白かった。
私たちの人間関係は、たいてい、顔も歪まないもので、幸せそうなそぶりをして、その共通の場所から離れたらお互い忘れてしまうようなものだったりするけど、歪んだ表情を、歪んだ世界の見方を、見たらきっと忘れないんじゃないかな。