命日のこと

ある人が亡くなった日を思い返すと… 思い返したら、私、慣れないメンバーとのパーティがあって、持ち寄りだからといって、唐揚げを大量に揚げて、トマトのマリネを作って、唐揚げの鶏をゆでたときのスープを使ってあんかけやきそばを作って。アボガドのサラダも作って、ドーナツを買い込んで、なんだか田舎のお母さんか! みたいに大量にごはんを作っていた日だった。あの頃、あの人はこの世からいなくなってしまったのかと思う。唐揚げを作るのははじめてで、ていうかそもそも揚げ物自体初めてで、衣が最初はうまくつくのに、何度か揚げているとうまくできなくなって、でも走り出した列車は止められないとばかり、全力で揚げたのだった。死にたいような気持ちじゃ全然なかった。そのとき、唐揚げが一個、肉にちゃんと火が通っていなくて、それを食べた子は、食べるの、やめといたらという隣の子の意見も聴かず、大丈夫だよと言って最後まで食べてくれたけど、なんだか申し訳なかった。うん、あの子が死んだ日はそういう日だった。