『不運な女』と『ブラウンバニー』

ブラウン・バニー [DVD]

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不運な女

不運な女

『不運な女』と『ブラウンバニー』 は空気が似ている。これはほんとう。


ー似た空気をつくるのは…ー
・ 主人公(語り手)が動き回ること
・ 場所的には色々な所に行くが、どこにも属していないような感じがすること
・ 彼らが、思考的にたちかえる場所が、ある女にあること
・ その女は、不運の影を背負っていること
・ 物語のプロットとしてなら、別になくてもいいような描写が少なくなく、「いまの、なんやったんやろ?」的わからなさがあること(わからなくても別にいいや的な。曖昧な雰囲気がわからなさを呑み込み、ぼかす。)
・ 主人公(語り手)はおだやかで、きずつきやすい


ー作者自身は、作品にあまり関係ない(というか考えるべきではない)けど、ちょっと似ている。ー
アメリカ生まれ
・白人
・ 親子関係に難があった(ギャロの場合は、『バッファロー'66 [DVD]』を見ればあきらか。ブローティガンについても、訳者の藤本さんによる本を読めば色々書いてある。)
・ 人生を孤独感がおおっている。
・両作品を作ったときの年代が、多分二人とも40代かな? ギャロは30代後半という可能性もあるが、似たような年で、中年である。


この2つの作品は、制作年代ももう全然違うんだけど(と言っても20年程度ではあるが)、なんか似ている。また、「似ているからなんなのか。」と意味づけを迫られたらーーその問いは、「意味をもとめない」作品群を意味づけることは野暮である、と、反論のしにくい「センス」を持ち出すことで解決。
しかし、google.comで検索しても、似たようなことを書いている人が見あたらないので、実は似ていないのだろうか。(それとも"An Unfortunate Woman"が読まれていないのか。『不運な女』もはてなの言及数をみる限りでは「すごく読まれている」とは言い難いけれども。)でもせっかくなので、今後さらなる検証を重ね、英語でも類似を書いてみたい。ブラウンバニーの、副音声でのギャロの解説を聴けば、なんか『不運な女』の理解の助けになることもあるかもしれない、などと淡い期待を抱きながら、2006年のはじまりとしたい。


ーーことしが、いい年になればいいなとおもう。