真昼の月

海街diary(うみまちダイアリー)2 真昼の月(フラワーコミックス)

海街diary(うみまちダイアリー)2 真昼の月(フラワーコミックス)

みぽりんの、裕也をずっと見てきたっていう描写にちょっと泣く。

ずっと後ろで見てたんだ/風を切って走る背番号10を/負けた時の/くやしそうな顔/ゴールを決めた時の/最高の笑顔/試合終了のホイッスル/チームのみんなの/祝福を受ける姿

キュン… そうか、人を好きになるってこういうことね、と(これも「櫻の園」からのセリフだけど!)。
「人を好きになる」ことだけでなく、「人とかみ合わない」ことも描かれている。自分勝手なお母さんが出てくる。アホな理由で、娘の事情も考えずにノーテンキな提案をするお母さん。

この人の/こういうところ/たぶん一生/かみ合わないんだろうなあ

と娘は思う。その心象が、「自分勝手なあんたが憎い」とかじゃなくて、「ああもう、一生違うんだなあ」という感じ。「お母さんとはずっと別の場所にいるんだ、これからもあんまり交差することはないだろうな」ということが実際の距離だけじゃなくて、気持ち的にも遠いところにいることが、悲しみだとかのドラマチックな感情をもたらしていない。それが、なんか救われる。「お母さんと私は違うんだわ!」みたいな激情であれば、逆に「それでほんとうにふっきれたのかな? ふっきれたようには装えるかもしれないけど」って思ってしまう。宣言がその人を縛ってしまうんじゃないかって思ってしまうから。
だけど色男藤井くんの言葉は、いいなって思う(昔の顔の方が好き…だなんて言っちゃいけないね)。

君だって いろんなもの棄てて/ここにきたんでしょ?
自分の中のなにかがGOサインを出す/そういう瞬間てあると思わないか?