今日はナショ・スト・プロ的な本当の話を。明日は嘘を。

ベジタブルレストラン*1に行こうと彼女と私は外へ出た。前から行こうねと約束していたのだ。
道は一本、歩くにはやや遠い。だからバスを使うことにした。
バンクーバーのバスは日本のバスのようにアナウンスしない。自分で適宜バス停を判断して降りる。ジャネットも私もだいたいの場所は分かるものの、不確かだったのでバス停の場所を運転手に聞くことにした。
「すみません、バス停はここであってますか」
「ああ、それなら次の次だよ」
そうやって私たちは無事に降り、レストランに入った。
私はタイ・ボール、彼女はトーフ・ドッグだったと思う。二人でブルーベリー豆乳シェイクをシェアした。
「私、ここに来るの2回目よ」
へえ、と思っていると、はじめに来たのはレストランがオープンした時とのこと。前に来たのが20年以上前・・・彼女の経てきた年数が、物事の眺め方を違わせる。そして豆乳を飲むのが初めてとのこと。
「あら、おいしいわね!これだったらまた飲むわ」
私たちは他愛のない雑多なときを過ごした。そうして、レストランを後にした。またバスを待った。
しばらくするとバスが来て、乗ると、運転手席にいるのは、一時間ほど前にバス停を教えてくれた運転手だった。運転手は普通同じ経路を走り続ける。彼はまた私たちの家の方へと向かうバスを運転していた。
「夕食はどうだった?」
「素敵だった」
彼はにっこりし、私もにっこりし、彼女は大きく笑った。

ところでナショナル・ストーリー・プロジェクトでは、今までのところ「虹」「トルテリーニの神秘」「フォーチュン・クッキー」が好きだ。短いのを選んで読んでるんだけどね。フォーチュン・クッキーは北米で中華料理屋さんに行ったときに楽しみなもの。読むと嬉しいメッセージはなんだろう。「願い叶う」「待ち人来たる」より一歩具体的なもののほうがグッとくるかもしれん。たとえば…「二番目の男*2に出会う」「短いお別れ*3が終わる」。

*1:バンクーバーにあるNAAM。最後の晩餐がここでもいいくらい好きだ。

*2:二宮ひかるの名作「二番目の男」参照。

*3:二宮ひかるの「短いお別れ」参照。