愛すべき娘たち

トミーズの雅に抱きつく夢をみた。・・・・。雅さんがトイレ行ったあと、皮膚の一部だからと手を洗わないと聞いてから、人に「手、洗った?」と確かめたくなる、ときどき。おじさんだと洗わなかったりするって言うけど、マジか?

よしながふみの『愛すべき娘たち』についてなにかまとめたいと思うけど、この漫画は好きすぎて、距離がとれないなーと思う。好きなものって、うまく距離がとれない。逆に、「ふむふむ、なるほどねえ」みたいにすぐに納得できると色々と感想言えて、気持ちよく消費できるんだけど、、、。オムニバス形式の短編集と言えるんだけど、「娘たち」にとっては「自分たち」の物語になるところが、距離のとれない理由かしら。

愛すべき娘たち (Jets comics)

愛すべき娘たち (Jets comics)

「第1話」
仲の良い母娘の話。親の八つ当たりを指摘する娘に、「え? そうよ八つ当たりよ それのどこがいけないの? 親だって人間だもの 機嫌の悪い時くらいあるわよ! あんたの周囲が全てあんたに対してフェアでいてくれると思ったら大間違いです! 」と言うところ、驚いた。たいてい親は八つ当たりを認めないもんだから。しかし、そもそもフェアな怒りなんてないのかもしれないな。
私だけのお母さんをとらないで、ていう思いは、子供ならわりとあるんじゃないかしら。

「第2話」
大学の講師が主人公で、かれに惚れた女生徒が、かれに迫って、オーラルセックスを強要する(彼女が彼にする)話。その女子が今まで付き合ってきた彼氏に教え込まれてきた酷い男女間のアンフェアな関係もおもしろいんだけど・・・まあこれらについては、何を言ってもずれそうなので感想は控えとこう。この大学講師はかっこいい。よしながさんの描く男性は、「いそう、いそう・・」なんだけど「なかなかいない」いい男が多いかなと。

「第3話」
これは、私の周りでも異様にシンパが多い話。私も好き。
祖父に言われた「全ての人に分け隔てなく接しなさい」という言葉を守り、人にほんとうに優しい、莢子は、「恋をするって人を分け隔てるっていう事じゃない」と気付いてしまう。そんなお話。
莢子以外の人間の恋愛観も描きつつ、それとは別に凛として立つ、莢子の爽やかな決心が胸をうつ。

「第4話」
家庭内の男女平等は難しいよ、でもやってやるんだ。という中学生の女の子三人たちの、その後の、中々うまくいかないけどね、、、という話。これは30代前後の女性にとってはもう、泣きどころじゃないかなあ。
たとえば結婚する友人に「うんうん、殿方といっしょに幸せになってね」っていう思いもあるし、別の友人がやりたかったことを「やめて結婚するかも」と言ったなら「ええ? そ、そんなのやめなよ!」って止めてしまいそうな。幸福なのか幸福じゃないのか、裏腹な感じが私にもある。
ちょっとよくわからないんだよなー。したことないし。うんと子供の頃みたいに、好きな子の名字と自分の名前を組み合わせてみて喜ぶような、そんなに無邪気でもいられないし、そんなの紙切れ一枚の制度だよと言えるほどわかってもいないし、諦めきれるほど大人でもなく、好きな男だっているんだぜ、でもなあ。みたいな。あー、大人になるって面倒だなあ。でも面倒じゃないのかな? なんて思ったり。 まあ、そのへんの機微を、感じる、話です。

「第5話」
人が、人に受けた傷のトラウマを基に、人に接していくんだなあ、特に親子間では。という話。
これもよくわかるなあ。私だってもし子供を持ったら、親がしたこんなことは絶対にしないぞーなんてしれっと決意していることが結構あるんじゃないかなあ。同じように親も、その親から、あるいは他人から受けた傷をもとに、人や子供に接している。

母というものは要するに一人の不完全な女の事なんだ

ですね。

このコミックは、ほんとうにいい。もしかすると、今までで一番いいかも・・というくらい、胸に迫ります。よしながふみは、わがままさへの言い訳、みたいのがなくて、わがままだから何? みたいな、突き放した目線で描いてる気がするなあ。人生の教訓を読み取る、みたいなんじゃなくて、個人的な真実を書いているって感じ。ギャグもいけるし。