この道、あの道。

主に運転しているのは子供のころから知っている道で、知らない道に出るとどの車線が左折になるのかとかわからない。それはともかく、子供のころから知っている道ってやっぱり特別で、小学校から歩いて帰っている自分や、自転車に乗って塾に行く高校生の自分なんかが、ひょいと飛び出してくるような気がする。そこの角から。幼い自分は車にひやっとする。友達と先生の悪口を言う。好きな男の子なんていないふりをする。それなりに人間関係に悩む。1年に一度だけ来る、パットライスのおじさん。いまは何をしているの? 私は暗い小学生で、悲観する中学生で、自意識の強い高校生で、トーキョーかぶれの大学生で、悩める社会人で、いままたここにいて、またここじゃないどこかに行くんだよ。