- 作者: トムレオポルド,Tom Leopold,岸本佐知子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1993/10
- メディア: 新書
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この小説の主人公みたいな、ちょっとイカれていて、そのイカれが、あるいは「ちょっと驕慢なんじゃないの」的なものであっても、偏りを抱えたまま生きていけてることで、そういうのを読むと、なんかセラピーになる。別に私の心を癒すために小説があるわけじゃないんだけど。一個所、すこし気になったところに言及。
いっそ家に『パパはなんでも知っている』タイプの奥さんでも待っててくれたらいいのに、とさえ思った。まったく映画やテレビドラマを見ているとろくなことがない。でも、見ていなかったらいったい僕はどんな人間になっていただろう?(p43)
というところで、前に読んだトークショーのレポでの柴田さん(突然書くと、どの柴田さんだという感じがするけど)の話(http://www.utp.or.jp/todai-club/2005/09/05/aeaauuoyeyyycoycyayeyyoyeyeyyuoie/)を思い出した。
すごく比喩的な言い方ですが,今は,自分の行為によって世界が変えられるとか,そもそも自分がいろんなメディアやマスコミの流すイメージや情報無しに,世界とダイレクトにつながれるとかいう感覚がすごく持ちにくい時代だろうと思うんです.
で、ーーそういうもんなのかな?という気もして。メディアが流すイメージで、世界とつながれる…そういうことってあるのかな、とこのレポをはじめて読んだときも思ったんだけど、でも自分のなかに、それを否定するほどの根拠も持てない。「今がどういう時代なのか」を、自分も含めた大きな文脈でとらえることが、私にとってむずかしいだけなのかも。
ちなみに、たまたま小さな個所に言及したけど、おおらかな感想としてはーーまあ、なんかこのキャラ(主人公)魅力的だなと思う。軽いノリで、少し過剰な感じもして、なお、妙に誠実で。普通気にもとめないよな、的ところにも妙に気を配ってるし、自分のずるさとか、上手さとか、不器用さとか、そういったものにちょっと翻弄されつつも、せっぱ詰まってる感じじゃなく、なんかちょっと歌うみたいに、イカれてるって気がした。
というわけで、いい本でした。
*1:積まれ始めたら、たいてい積まれたままなのだけど。だから、もう、一気に買うなんてことしないで、ちょぼちょぼ買っていこうかとさえ思い始めている。