夫婦を超えてゆければ

恋 (初回限定盤)

恋 (初回限定盤)

今日は星野源のエッセイを2冊読んだ。移動中はもっぱら「恋」を聴いている。

恋をしたの あなたの 指の混ざり 頬の香り
夫婦を超えてゆけ

星野としては型どおりの恋じゃなくてもいいじゃん、という思いがあると。指の混ざりってなんていい言葉。

〈夫婦を超えてゆけ〉というフレーズを思いついたときに「あ、もう大丈夫だ」みたいな気持ちになれました。ラブソングって、どうしてもある特定の条件を歌ったものが多いじゃないですか。片思いだったり、カップルだったり、夫婦だったり。その特定のシチュエーションや登場人物にこっちの感情のトリガーが勝手に引かれて共感するパターンがほとんどだと思うんですけど、そうじゃなくてすべての恋に当てはまるラブソングにしたいと思っていて。

そうであれればと思う。
これが幸せってものだろう、という型から自由であるつもりでも、時々は自分からその中に入って苦しみを感じることがあるから。自信を持って、恋するものを恋することができれば。
この人の自由さって、親がおもしろかったり、子供のころから、けっこう日々がしんどかったり、現実よりも深くさまざまな物語や音楽になじんでいたり、というところから来るものも大きいのかなと思う。演劇、音楽、文筆と二足以上のわらじを、多分すごく忙しい生活の中で、履いてるというのも、自由に寄与しているんじゃないかな。星野もずいぶん、一足にしろって言われたみたいだけど。

蘇える変態

蘇える変態

そして生活はつづく (文春文庫)

そして生活はつづく (文春文庫)

私は一足目のわらじからは逃げ出して、また新たに一足目を履きなおした。また別のわらじも履くことがあると思う。きっと中途半端だろうけど、それでもそのことで、見えてくる世界もあると思うし、「自分をなくす」ことにも一役買うんじゃないかと思うし、この世界にとどまる理由にもなるんじゃないかと思うんだよね。