- 作者: 町田康
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2006/01
- メディア: 単行本
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言語の問題とは本当に深刻だ。本当の自分、なんてことを言い出すのはアイデンティティの確立に悩む若い人のようで、というかこう言い出すことが青春の悩みを軽んじているようで大変心苦しいが、東京弁では、どうも調子が出ない。私は、誰かと出会うとき、第一印象をあまり重要としないほうだ。自分の直感ほど信じられないものはないと思っている。しかし、それは、印象が変わっていく人について私は気にしないということであって、わりあい自分自身が人に与えてしまった第一印象については律儀にとらわれる。ネガ子時に出会えば、以後もネガ子で、ポジ子時に出会えば、以後も私はポジ子だ。つまり、何が言いたいかと言うと、会ったときに東京弁で話してしまうと、以後も東京弁で話し続けてしまうということなのだ。そして東京弁キャラは、本当の私ではないのだ。ああ。書くことは嘘でも言うことは素でありたいのにっていうか、素でうまい反応をしたいのに。
関係ないけど、町田さんは、しれっと笑いを置いておくセンスがだだもれって感じです。漫才コンテストの審査員などもしているようだが、どんなんなんやろ。