- 作者: 吉田秋生
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1999/08/01
- メディア: 文庫
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藤井くん どうしてわかったの あたしほんとは怖くて… だれも気づいてくれなか…
ラヴァーズ・キスで好きなシーン。主人公のりかこは、遊んでいる女に見えるけれども、小学校のときに担任の先生にいたずらされた過去がある。高校生になって好きだった人とつきあうようになって、彼に触れられたときに、りかこの体はその先生の冷たい手を覚えていて、怖かった。りかこの親友曰く
おねえちゃん(りかこ)は男に気後れしちゃうんだよ。そういう自分が大嫌いなんだよね。ひとついやって言えないと その次もそのまた次もずっといやって言えなくなる
てなふうに、「嫌だ」って言えなくて男に流され、はためには男にぶりぶりで遊んでいるように見える。けど、ほんとうは、男に触れられるのは怖いーー
っていうりかこの恐怖を、ほとんど事故みたいにりかこと藤井くんがセックスするときに、藤井くんが「震えてる ほんとにいいのか? 」と気づく。冒頭のはそれからしばらくたったあとのりかこの台詞。・・藤井くんは、吉田秋生作品のなかでも、かっこいい中のかっこいい男だなーと思う。
上にあげた親友の言葉も、なんだか泣けるんだけどね。
しかし、りかこも藤井くんも高校2年生。おとなっぽすぎる・・・・・
今日は風が強いみたいだ。せんたくものがきっと早くかわくんじゃないかな。
パンジー用の水スプレーを風と垂直方向にしゅーっと出すと、こちらの顔にふわーーっと霧がきてきもちいい。こんな風の強い日はけっこう好き。
教室のカーテンがぱあっと舞うときも好きだったなあ。運動会も風が強くて、お弁当が砂まみれになった。学校生活での思い出って天気にかんすることなら、わりといい感じで記憶している。滅多に雪の降らない地方だったから屋根に雪が少しずつ積もっていくのを窓から、しんしんとどきどきしながら見ていた。大雪が降った実力テストの日、みんな遅刻しちゃったんだよな。台風が多いから、大雨・洪水警報でよく休みになっていたんだけど、広い広いコンクリートの駐車場に、雨が横殴りに打ち付けるのとか、今でも一番好きな光景かもしれない。東京にゃ、そんな広いコンクリなとこがないからなあ。ピーカン晴れなんかは、あんまり覚えてないなあ。
昨日も書いた文芸評論家のネット上でのテクストや、かれに対するネットでの評判などを少しずつ読んでいる。かれは異性(かれにとっては女性)の作家や、まあ異性全般にたいする嫌悪や軽蔑をあっさりと口にする(ちなみに結婚はしている)んだけど、そのあたりが私に似ているなあと思った。まあ、誉められた事じゃないです。よしもとばなながお嫌いみたいで、かれにしては酷評していた気がする。そこも類似。でも嫌いなポイントは違うみたい。私はエッセイでも小説でも、…なんでこんなに無邪気に断罪できるのかな? っていう、自分大好き感がにがてなんだけど、かれの場合は登場人物が動かないことが嫌みたいだ。